もめんタルデイサービス「湿布がまっすぐ貼れません」

ナースを怖がるナースによる、看護職と介護職に向けた情報発信(と雑記)

「薬が多い」「血圧が高い」デイサービス定番の話題とは?

最後のは受診してください…

 

利用者との話題3選


デイサービスにくる利用者は、話相手を欲しがっている人が多いです。

独居だったり家族が日中家にいなかったりと、一人の時間が長いことの反動であることが理由の一つでしょう。

わたしは雑談の苦手な人間なのですが、話をしたいひとにとってそんなことは関係ないようです。

ばんばん話しかけられます。

 

よく話題にあがる内容は次の通り。

 

 

薬が多い


うちのデイサービスは昼食後の内服薬を来所時に預かり、食後に配薬するシステムです。

みなさん認知症もないですし飲んでいる薬の量はほぼ固定なのですが、薬を持っていくたびに新鮮、かつゲンナリした反応が返ってきます。

「今日も多いなあ」

「減らないかなあ」

「喉に引っ掛かるのよ」

あと、薬を飲む人の席が隣同士に並んでいると始まるのが薬の量自慢。

「あんたようけ(たくさん)飲んでるな」

「せやろ。飲みたないんやけどな」

「わたしなんか朝6錠のんでるんや」

「かなわんなぁ」

なんだかんだ言いながらも、飲んでくれているうちは元気なんですよ。

減らしたらそれはそれで不安になる人もいますしね。

入院して拒薬が始まってからが専門職の腕の見せ所だと思ってます。

(センセー、この人お薬飲んでくれませーん)

 

血圧が高い


来所して一息ついたところで血圧測定をして、基準値内なのを確認してから風呂や機能訓練へうつります。

基準値は上も下もかなりゆるめに設定していますが、引っ掛かるひとは毎回引っかかっちゃう。

引っかかると不安そうに

「…どっか悪いんか?」

と聞かれます。

大体は今すぐどうこうできるものでもないので、無症状なら大丈夫だと伝えます。

風呂は短めにするし、機能訓練はゆるいやつだけにするけどね。

 

高血圧の治療薬を飲んでいるひとはたいてい基準値に収まるけど、飲み忘れたときは20-30くらい跳ね上がるからドキッとする。

あまりにも血圧高値が続くときは、内服忘れを疑うこともあります。

 

ええい、ケアマネに報告じゃー!

在宅独居での内服管理、悩むよねぇ。

 

医者にかかったことがない


すんごいキラキラした眼で「病気したことがない」と教えてくれるのですが、残念なことにどこかしら不調がでていることが多いです。

認知症らしきものも、出ている人は出ている。

 

医者にかかったことがないのは事実なので、高確率で見つかっていないの異常が潜んでいると予想されます。

そういう人が骨折や発熱で受診となったときにはあちこち追加で治療が始まるんじゃないかな。

内服追加や、定期的な通院、ときに入院も考えられますね。

 

でも、医者にかかったことがない人が大人しく内服や通院を続けてくれるかな。

ビミョーなところです。

 

ちょっとした話題からみえる利用者の背景


薬や血圧の話からは通院状況や基礎疾患がみえますし、薬の管理や通院に誰が関わっているかで家族との関係もみえたりします。

デイサービスで誰にでも物腰柔らかな人が、嫁と昔バッチバチにやりあっていたなんてことはよく聞くお話。

家族仲がいい人も日中は忙しかったりたまにしか会えなかったりするので、デイサービスにくるの目的は「誰かと話したい」というのもあるのでしょう。

自分自身は雑談が苦手ですが、ちょっと聞いてよという利用者の要望にくらい応えようと思います。

 

 

正論だけど言葉がきつい先輩に傷つくあなたへ

注:あくまで個人の感想です。

正しいことを言っているはずなのに心が受け付けない。

理解はするけど納得はいかない。

先輩や上司から指導を受けたとき、そう感じたことはありませんか。

わたしはしょっちゅう感じてたぞ。

 

組織や個人が間違った方向へ行く前に、正しい方向を伝えてくれる存在はありがたいものです。

ですが、正論ばかり突きつけられるのも疲れます。

なぜ先輩は正論をきつい言葉でいってくるのでしょうか。

 

正論がきつい理由
太ったことを気にしている人に「太った?」と聞くと傷つくよね。

1.安全地帯からの攻撃だから
正しいことを言っているので、正論の内容が事実の場合、言われた側は反論できません。

反論できない場所で耳の痛い事実を突きつけられ続ける。

こっちからは何もできないもどかしさがあります。

 

2.相手の都合で繰り出される正論もある
一方的に正しいことが言える立場で、人より有利な立場に立てる作用が正論にはあります。

自分の立場を守ったり弱い自分を隠すために、この作用を利用する人もいるという事実を知っておいてください。

この作用を利用する人の特徴は

人より有利に立ちたい
弱い自分をみられたくない
相手を攻撃したい
というものです。

自分が下に見られたくないから、お手頃な誰かを下げておこうということですね。

 

この根性悪が!

 

と言いたいところですが、誰かを攻撃しないと自分を保てないかわいそうな人でもあります、こういうことしてくる人たちは。


正論をいうひとの心理
http://mzshinrikei.com/2020/11/30/seironhurikazasuhito/

 

3.きつい言葉だとさらにダメージ倍
正論をいわれる場面では真顔、もしくは怒った顔でいわれることが多いです。

これも正論をいう理由と同じで、自分を強く見せたいからというのがあるのでしょう。

言葉がきつい理由には「現場が忙しいから」というのもありますが、後輩に言葉がきつい先輩が忙しいからといって上司や患者にかみつく姿を見たことがないのでやっぱりきつく言える人を選んでいるのだと思います。

言葉がきつい人がそれを意識しているかどうかは別にして。


言葉がきつい本人は気づいていない
忙しいかったり緊張しているなど、心に余裕がないと言葉がきつくなるのはわかります。

嫌だけど。

ただ、自覚なく言葉がきついひとも中にはいて本人にはその自覚がないこともあります。

無自覚にきつい理由は、人との関わり方がわからない、人の気持ち鈍感で自分の言葉で傷つく人がいると想像ができない、といったところでしょう。

無自覚なタイプはこちらに害を与えるつもりは無い場合があるので、当てはまる場合は気にしないほうがいいです。

じわじわこちらの心にダメージが溜まっていくことが多いので、一定の距離は保ちましょう。


https://kigyolog.com/article.php?id=1606

 

 

正論は正しいけれど、傷ついてもいい
正論は正しいから正論ですが、人が目をそらしたくなる現実でもあります。

そこに無理やり目を向けさせるのなら、それなりの痛みをともなうことを正論を放つ側も覚悟しておく必要はあるでしょう。

 

「正しいことを正しく言って何が悪い」と正論を放ち続ける人は、無自覚に人を傷つけ続けないと自分を保てないかわいそうな人です。

正論を言われたとき「言ってることは正しいから、わたしが悪いんだな」と自分ばかり責めずに、改善すべきところは改善して必要以上に落ち込まないようにしてください。

【モヤモヤ】介護現場で酸素はどう扱ったらいいの?

酸素を吸っている人が利用者さんにいるとドキドキするのではないでしょうか。


f:id:misonasu:20220830204318j:image

自分は偶然にも新卒で呼吸器内科に配属されたので、そこまで苦手意識はなく過ごせています。

しかし自分のミス一つで他人の息の根を(文字通り)止めてしまう医療機器を扱うなんて、慣れない人からすればストレスでしかないと思います。

 

なら、取り扱うときのポイントを押さえておけば少しはそのストレスもマシになるのではないかとこの記事を書いてみました。

 

「苦手意識はない」と書きましたが、私も配属ホヤホヤのときはおっかなびっくり酸素の機器を操作していたように思います。

呼吸器内科の経験がなければ今のデイサービス勤務もストレスフルだったに違いないです。

いやー、運がよかった。

 

酸素を吸う目的

そもそもなんで酸素を吸う必要があるのか。

その理由を知っていることで、判らないことへのストレスは減ると思います。

 

酸素を吸う理由その1. 息が苦しいから

肺が固くなったり、体の中にうまいこと酸素が届かないと自分の呼吸だけでは息が苦しくなります。

これは、体が要求している酸素の量に対して、供給が追いついてないのが理由です。

足りない酸素を医療機器で送ってあげるイメージが近いのではないでしょうか。

 

酸素のチューブを外してしばらくすると息苦しくなるのがこのパターンです。

一方で、酸素チューブをつけなくても全然苦しくならない人もいます。

 

酸素を吸う理由その2. 体に無理をさせないため

苦しくないのになんで酸素吸っているのか、というとそれは体に無理をさせないためです。

 

酸素チューブをつけなくてもしんどくない、なんともないと本人は思っていても、体は結構無理をしているときがあるのです。

 

酸素と呼吸に強くなるおすすめ書籍

この状態を一般の仕事をしている人にわかりやすく説明している本がこちら。

 

 

呼吸器内科ではたらいているときには、この本の内容にとても助けられました。

呼吸のキホンと帯にあるとおり、呼吸器症状の見かたや薬の知識など知っておくと実地で役に立つことが満載です。

医療以外の現場でも役に立ちます。

 

本題に戻しましょう。

本人は自覚がないが、体は無理をしている。

これは自分が納期のキツイ案件を休日返上で片付けたのに、上司が気づいていない状況です。

それだけに留まらず「案外いけるね?次から倍の量頼んでいい?」と無茶ぶりしてくるとしたら、どうですか。

 

おい上司、あんたのマネジメントどうなってんの、と言いたい状態ですが、体が無理をして酸素の量を補っているのはまさにこの無茶ぶり上司の仕事を休日返上で作業していることと同じなのです。

 

無理をして頑張り続ける部下に休み=酸素をあげないと、必ず倒れる日が来てしまう。

そのことに上司=本人、を理解していることも重要だと思います。

 

酸素を出す機器

酸素発生装置とかいいます。

なんとなくSFっぽい。

据置き型

家の中にドンと酸素発生装置を置いて、そこから酸素を吸うタイプ。

据置き型メリット

酸素の残量を気にせず使えるのがメリット。

存在感は高さ50cmくらいの空気清浄機で、人によってはそこまで邪魔にはならないと思います。

プラズ○クラスターくらいの存在感。

 

据置き型デメリット

酸素を吸っている限りはどこまでもチューブがついてくるので、10mはあるチューブをうまいこと捌きながら動かないとすぐもつれるのが難点。

 

テレビ番組でカメラのケーブルを捌いてるADさんいるけど、まさにあんな感じ。

 

酸素ボンベ型

こちらは主に外出で使う用。

酸素ボンベ型メリット

小さめのキャリーバッグに小型ボンベを収納して運ぶ型や、リュックサック型があります。

ボンベのサイズはメーカーによって様々ですが、消化器くらいのサイズ感です。

持ち運べるのが最大のメリット。

 

酸素ボンベ型デメリット

ボンベ全体で出せる酸素の量は決まっているので、たくさんの酸素を常に吸っている場合はすぐにボンベが空になってしまうのがデメリット。

一日がかりの外出の場合は予備のボンベを持っていくと安心。

 

介護のとき注目するポイント

ポイント1. 苦しそうではないか

酸素を吸っていても、体に必要な量に達していなければ息苦しくなります。

そのような症状が出現したときの対処法をあらかじめ知っていると安心して援助できます。

  •  息切れ、呼吸が荒くないか

 息苦しさの自覚症状としてわかりやすいものの一つ。

  •  ハアハアしている
  •  肩を上下させている
  •  首の筋が目立っている

というのもの特徴です。

 

ポイント2. 体に症状がでていないか

 息苦しさ以外にも酸素が足りていないときに出る症状があります。

  •  唇や指先が青白い
  •  いつもより落ち着きがない
  •  頭が痛い、ぼーっとする

などが当てはまります。

 

これらは「低酸素血症」という状態のときにみられる症状です。

ほかにも、指先が太鼓のバチのように太くなる「バチ状指」というものも低酸素血症の影響で現れることがあります。

長年酸素が足りない状態が続くことで起きる体の変化で、すぐに何かをしなければというものではありません。

ただ、その人の体がどんな状態かを知っておくのは、普段の介助にしろ緊急時にしろひとつでも情報が多いほうがいいので、その点では知識があると心強いと思う。

 

 

ポイントその3. そもそも酸素は出てきているのか

見た目ではばっちり酸素を吸っていると見せかけて、実は吸っていませんでしたということはよくあります。

(よくあってはダメなのですが)

酸素が出ていないと命に関わる重大事故につながるので、確認は大事です。

どれだけ忙しくても、次の業務が迫っていても確認の優先度は高い。

落ち着いて見ていきましょう。

 

確認ポイントとしては次の通り。

  •  酸素の残量
  •  チューブの開通
  •  チューブの接続(ボンベ側/利用者側)

ひとつずつ説明していきます。

 

確認ポイント1. 酸素の残量

酸素ボンベが空になるタイミングは思っているより早く、多量の酸素を吸っている人だと新品を使っても数時間で空になってしまいます。

酸素利用中の人のそばに行ったときは、残量目盛りも確認するようにすると安心です。

目盛りを見るのに5秒とかからないので、確認することで利用者の安全が守れるので効果の高い行動ではないでしょうか。

 

余裕があればあと何時間使用できるかも計算しておきたいですね。

ちなみに、目盛りが赤のエリアを指していれば交換時期です。

 

確認ポイント2. チューブの開通

酸素のチューブは柔らかいビニール製なので、物が乗ったりねじれたりするとすぐに詰まります。

移動をしたあとや車椅子の車輪で踏んづけてしまうことが多いので、気をつけよう。

据置き型の酸素発生装置から伸びた長いチューブを、まれにスタッフが踏んでしまうこともあります。

利用者さんの首を絞めていることと同じだから、気をつけたいですね。

(ちなみに私は踏んだ経験がある。自戒。)

 

確認ポイント3. チューブの接続
  • 酸素もちゃんと残っている
  • チューブも詰まったところはない

ときても安心できません。

なぜなら、チューブの根本がボンベから外れていることもあるし、酸素が出ている部分が鼻や口にきちんとはまっていないことがあるからです。

鼻カヌラの場合なんかは鼻の穴に片方しかはまっていないことが多々あります。

 

鼻の穴をまじまじと見るとズレてるとか、間違い探しのレベル高くないか。

 

ミスは細部で起こる

一周回ってそこ間違えるか?というミスは、どの業界のどんな業務にもあると思います。

ツメが甘くならないよう、確認は最後までやっておきたいところです。

 

 

体調が変化したときの対応を知っているか

酸素を吸っているということは、何らかの病気や不調を抱えているということです。

ということは、ちょっとした出来事やストレスで体調に変化が起きやすいということ。

 

酸素を吸っている人が不調を感じると、分かりやすく苦しそうな様子になります。

側にいるスタッフもつられて不安やパニックを起こすと相手にも不安を与えるので、体調変化が起きたときの対応は普段から知っておくと利用者もスタッフも安心できると思います。

 

体調変化が起きたときの対応法としてはこちら。

  1. 周りのスタッフに報告する
  2. 楽な体勢をとる
  3. 血中酸素濃度(SpO2)を測定する

一つずつ見ていきましょう。

 

1.周りのスタッフに報告する

息苦しさに限らずすべての体調不良、急変で大切なことです。

どんなに優秀な人でも一人でできることは限りがあるからです。あって手は2本、口は1つ、考える頭も1つ。

また不測の事態が起きたときは人はパニックになって正常な判断がとれなくなるものです。

できる作業を増やして適切な判断をとる余裕をもつためにも、周りのスタッフに応援を求めましょう。

あとに挙げるどの方法よりも大切なことです。

 

2.楽な体位をとる

酸素を吸うことになった原因の病気によっては、取ることで楽になる姿勢があります。

心不全という、心臓のはたらきが弱まる病気の場合は上半身を起こして座る「起座位(きざい)」の姿勢をとることで息苦しさが楽になることが多いです。

姿勢とは少し違いますが、COPDという病気の人が息苦しさを感じたときは「口すぼめ呼吸」を促すといいと言われています。

口すぼめというのは唇を「う」の形にして息を吐くことです。

ホースの入口をつまむと水圧が強くなるあの原理で、息が吐き出しにくい人の呼吸を助けてあげるんですね。

 

体制を整えたり呼吸方法を工夫しても改善がなさそうなら早々に次の手を打ちましょう。

 

3.血中酸素濃度(SpO2)を測定する

SpO2とは体中をめぐる血液の中に含まれる酸素の濃度を簡単に測定した数値です。

濃度なので単位は「%」です。

正常値は成人で96%以上ですが、個人差があって普段から呼吸系の病気を持っている人は94%くらいでもピンピンしているときがあります。

 

利用者から「息苦しい」といわれたらとき、呼吸状態の確認のためには必ず測定したい数値でもあります。

 

正確な酸素濃度は動脈を流れる血液を専用の機械にかけて測るのですが、動脈は体の深いところにあるので採血できるのは医師だけですし、そもそも針を刺すと痛いです。

 

その点、SpO2はパルスオキシメーターという機器を指先に挟むだけで測定できますし痛みもありません。

介護職でも誰でも行える測定方法なのもポイントです。

 

ただ、簡易的に測る数値なので測定した条件によっては数値に変化がでます。

SpO2の数値だけをみて正常/異常を判断するのは危険なので、息苦しいと言う人がいたときは必ず医療職に伝えてくださいね。

 

酸素を吸う人をみるポイントまとめ

ここまでお伝えしたことをまとめると

  1. 酸素の発生源(ボンベなど)から利用者まできちんと酸素が届いているか
  2. 体に酸素が不足している症状はでていないか
  3. 息が苦しくなったときの対応を知っているか

となります。

 

息苦しさは命の危機を自覚する症状のため、息苦しさを感じた人はパニックになります。

そのパニックに巻き込まれず安心できる対応ができるかどうかが、専門職やプロのチームとして腕の見せ所ではないでしょうか。

 

酸素を吸っているひとがいても自信をもってケアが提供できるよう、お互い頑張りましょう!

今は令和だよ?まだ昭和の看護教育してるの?

精神論と根性論と病棟のパワーバランスについていけなかった元新人看護師が、看護の教育についてぐるぐる考えてみた。

看護に限らず介護や保育なんかの、女性が多い職種に当てはまるんじゃないかなと思うのだけど、どうよ?

経験年数限らず「品格」が求められるんじゃないの?

新人には新人の、中堅には中堅の品格がある。

それはいうなら「背中で語る」というものだろう。

看護業務には知識、技術に合わせて「品格」も必要ではないかと思う。

 

看護業界には理不尽が多すぎる

そんな曖昧な、看護はエビデンスだ、と言われるだろうが、後輩が憧れる先輩像というのは業務遂行能力だけでなく振る舞いから見える人柄にも大きく影響をうけているはずだ。

いつも不機嫌で面倒な仕事は下に押しつけコールも取らずにいるのに、指導だけはいっちょ前。

正論で正面から殴りかかってきたり、自分が受けてきたパワハラをそのまま下の世代に繰り返す姿に、誰が憧れるだろうか? 

 

受け継がれていく理不尽な仕打ち

誰だって嫌なやつになりたくはない。

しかし、実際に看護師の現場にはテンプレがあるかのように嫌なやつが存在している。

その理由で考えられるのは、「自分はこの指導で看護師として成長できた」という生存バイアスがかかったものや、「自分が受けた指導は間違っていない」という現実を肯定したいという思いだろう。

 

パワハラや理不尽な仕打ちを「正解」としてしまう環境が続いている

理不尽を生き抜いて役職を手に入れた副師長

実際に、怖くてやっぱり怖い実力のある副師長が雑談のなかで話していた出来事を聞きそう考えるようになった。

「私が新人のときは先輩から口なんて聞いてもらえなくてね。それでも必死に食らいついていたら、少しずつ話しかけてもらえることが増えたの。」

仕事をはじめたてのころは誰だってスムーズに動けないものである。

そのことは本人も重々承知していて、周りのフォローを入れてくれる人たちに申し訳なさや負い目を感じながらなんとか成長して役に立とうと必死に動く人が多いだろう。

その負い目を感じている時期に、職場の人間から口を聞いてもらえないとすると?

きっと食らいつくどころか萎縮してもっと鈍臭くなるだろう。私ならそうだ。

 

ところがその副師長はその環境を生き抜いた。

生き抜いてしまい役職を手にするところまで実力をつけてしまったために、新人が萎縮する環境を「正解」ととらえてしまったまである。

 

こうして理不尽な仕打ちを受けつつも生き残って実力をつけた人が、その正解を次の世代に繰り返すことで理不尽な仕打ちが受け継がれてしまうんだと思う。


看護に根拠はつきもの、なら教育にも根拠を取り入れようよ

看護学生や新人看護師が耳にタコができるほど聞いていて、聞くと震えあがる「根拠」という言葉がある。

Evidence  Based  nursing

略してEBNともいう。

 

患者の体を拭くにも、なぜその行動が必要なのか?の理由を理論立てて説明できなければ患者の体には触らせてもらえない。

体を拭いたらきもちよさそうだからー、となんとなくフワッとした解答をしようものなら「で、その行為はいま必要なわけ?根拠は?」と指導者から返り討ちにあう。

(いま思い出しても胃が縮みあがる…)

それくらい根拠が大切にされている世界なのだ。

 

それならば下の世代への教育も根拠に基づいた効果のあるものにすべきだと思う。

「私たちの時代はこうだったの。私たちはこれで成長できたの。」だけでは、フワッとした理由で患者の体を拭こうとする看護学生と同じである。

 

ビジネス書の棚には後輩や部下をもつビジネスマン向けのわかりやすい本がたくさんある。

本をかけるということは、下の世代を育てることは理論立てて行うことができるということだ。

看護業界も、もっとそういう理論を取り入れて効果的に後輩を育てるべきだ。

 

とくに昨今は教育している側がパワハラモラハラで訴えられる時代でもある。

前時代的な教育を見直して今の時代に合わせたほうが、下の世代にとっては気持ちよく成長できて上の世代にとっては戦力が早く育ってWin-Winでいいと思うんだけどなぁ。

「白くて丸いお薬飲んでる」を実際言われたことはないけど、よくあることらしい

「名前は忘れたけど、白くて丸いお薬飲んでいたの。」

私自身は言われたことがないけど、医療介護の世界でよく聞く言葉です。

言ってるご本人は好意の塊ですし、こちらとしても薬を飲んでいる意識を持ってもらえることはとてもありがたい。

 

ですが、①白くて②丸い、のヒントだけでは正解にたどり着くのが難しいというのも事実。

 

薬を特定する理由

そもそもなんで薬を特定する必要があるのか。

それは、今の治療内容を確認するためであったり、入院するなら新しくはじまるお薬との飲み合わせを調整するためです。

 

お薬をこちらで管理する場合も、飲むタイミングや管理方法を知りたいの何を飲んでいるかは知っておきたいところ。

 

余談ですが、普段使っているお薬の中には

  • 飲み薬
  • 注射

のほかに

  • 貼り薬(湿布も)
  • 目薬(目の乾きに使うやつ含む)
  • 塗り薬
  • 薬局で買える薬全部
  • ビタミン剤
  • サプリメント
  • 健康食品

も含まれるので申告してほしい。

いちスタッフ心からのお願い。

 

申告されていないものを後から自己判断で使用された場合、スタッフ(主に看護師)が報告書を上げることになります。

場合によっちゃ数十分の小会議になることもあり、心身ともに削られる瞬間です。

なので、「これはどうだろう?」と少しでも思ったものがあるなら全部出してくださーい!


白くて丸いお薬は無数にある

「そんなこと言ってもあなたたちは薬についてよく知っているでしょう?」

「色と形さえわかればそれなりに候補あがるんじゃないの?」

と思ったひと。

先生怒らないから手をあげなさい。

 

うんうん、そうだよね。

我々はプロだからわかると思うよね。

確かにある程度予想していて、その予想があたることもたまにあるんだよ。

 

でも、その予想だけで飲んでいる薬を判断するのはめちゃくちゃ危険なことなんです。

 

例えばこんなケース。

「血液をサラサラにするお薬を出されてた。

 確か白色で丸くて、朝に1錠飲んでたよ。」

 

よく聞きますし、ご高齢のかたのそれなりに当てはまるケースだと思います。

そして薬の予想もつきます。

血液サラサラ→血管が詰まったことがあるか?

ということで考えられるのは

  • 血を固まりにくくする薬(抗凝固薬)
  • 血を固まりにくくする薬(抗血小板薬)
  • 血のドロドロ解消(血液中の脂肪を減らす)

というところでしょうか。

 

いっぱいあるでしょ?

予想がついたところで全然絞り込めないんですよ。

ここに日常生活の不調をよくする

  • お通じをよくする薬
  • 胃薬
  • 痛み止め

が含まれます。

無限に広がる選択肢。

 

この病気にはこのお薬で治療しましょうという大まかな方針はあるでしょうが、実際は薬を飲む人の体に合わせて調整されています。

種類がわかっても1日に何mg、何g飲むかもわからなきゃ治療になりません。

「多分これだろう」と当て物みたいにするわけにはいかないんです。

 

お薬は覚えるのも当てるのも難しい

「ずばり、アナタの飲んでいる薬はこれでしょう!」とはできないのは、白くて丸いお薬が膨大にあるから。

言ってしまえば錠剤なんてほぼ白いし丸です。

 

印象の薄い同級生と数年後再会したとき並に「えっとー…誰?」となるでしょ。

あれとおんなじですよ。

 

とはいっても呪文みたいな薬の名前を覚えるのも大変だと思います。

たくさん薬を飲んでいるひとには酷な話。

普段たくさんの患者さんの内服に触れている側の人間でさえ、そらで薬の名前と用量を覚えてはいません。

 

お薬手帳の活用を

じゃあ薬の管理はどうすりゃいいのよ?!

と思うでしょうが、そういうときはお薬手帳を活用するといいですよ。

薬局で処方される薬なら、処方時に薬剤師さんが薬のシール貼ってくれます。

市販薬の場合でもレシート貼ったり薬の名前書いておくだけでも、普段使っている薬の把握がしやすくなるので助かります。

 

白くて丸い以外の手がかりが一つでも増えますように。

 

「底辺の仕事」って結局なんのことだい?

就活情報サイトで特定の職種を底辺の仕事として紹介されていたことが問題になりました。
(今は削除されているみたいですね。)

アクセスを集めるための炎上狙いか、はたまた何も考えずに記事を書いたのか。

直接サイトを見たわけではないですが、紹介されていた職種の中には介護職が含まれていたとのことで内心「底辺てなんやねん」と思ってます。

看護師も底辺やら3K9Kやら言われるので他人事ではないですし、今の職場はバリバリの介護業務なので他人事ではない。

個人の思うところとしてですが、底辺と言われる仕事は「知らない誰かが代わりにやってくれたら助かるなぁ」というニュアンスが含まれている気がしてならんです。

仕事内容が大変?

人を1人担ぐ体力勝負な大変さと、体液や排泄物に触れる心理的な大変さがあります。
どっちも慣れてしまえば日常です。

給料が少ない?

基本給がやや低いかな、と感じることもありますがそこに資格手当や夜勤手当がつけばそれなりに生活できる水準。
関西圏の介護パートで1,200-1,300円くらい。
派遣だと1,600-1,800円出るところもあります。
夜勤ありの施設で額面23-25万円スタートも珍しくないので、低いというほどでもないのでは。
一馬力で家族全員養うにはちょっと物足りないから、そこが「給料少ない」と言われる理由かもしれません。

誰でもできる仕事?

これ介護のどこを指しての言葉なんでしょうね?
昔はどこの家でも家族が介護していたので、素人でもできる=誰でもできる、になったんでしょうか。
素人がやっていたからといって、誰でもできる簡単な仕事ではないです。
放っておいたらそこらへんのものを喉に詰まらせる人(注意しても通じない)が毎日を安全に過ごすには、周囲の環境づくりと見守りの目が必要です。
そしてその環境は介護の知識をもった人が作っています。
参入障壁の低さを指しているなら確かにそのとおり。
求人に応募して採用されればそれが介護職デビューになります。
学歴も資格も(初めは)いらない。
が、質の高い介護が提供できるかどうかは就職後の研鑽次第。
バリバリの認知症がある人の介護とか、ちゃんと勉強しないとみんなが苦痛でしかないよ。

結局なんで底辺呼ばわりされなきゃなのさ?

資格や専門知識がなくても仕事に就ける間口の広さ、業務からの身体・メンタル双方からの負担、そして報酬の少なさ。
これらが合わさると、

  • 誰でもできて
  • しんどくてキツくて
  • その割に給料の安い

仕事が出来上がるわけです。
給料の安さは介護報酬という、お上が決めた上限があるからというのも理由。
その割に求められることは年々増えてる気がするのだけど。

底辺と言われようと誰かがやらなきゃいけない仕事で、そこにやりがいがある限り自分はやります。
でも、こういうきれい事言えるのは、自分が介護分野の看護師で少し気持ちに余裕があるからでしょう。
介護分野の最前線にいる介護士さんたちの姿は、病棟最前線の看護師と重なるので余裕ないのもひしひし感じます。

救いなのは、実際の利用者さんやその家族さんから必要とされてありがとうと言葉がもらえていること。
理不尽や無茶ぶりのムチが多いなか、「もうちょっと頑張ってみよう」と思えるアメの一つです。

でも、労働環境とか世間から言われる心ない言葉(底辺職、とかね)のムチが多いからやっぱ働きやすい労働環境づくりは必要だなと。

個人的には、今テイヘンと言ってくる人は老後てーへんだよって言い返したい。
人の老化率は100%だよ。
誰でも老いるよ。

メンタル強者な同期の話と自己肯定感

看護師1年目の病棟に入職したときの同期が、いわるゆ強メンタルの持ち主でした。

見た目はナチュラルかつ美人系、先輩からの質問にもハキハキ答えて自己学習は細やかにしっかり。

だから周りの先輩や上司からの評価も高く、いの一番に重症患者をつけられたのも彼女。

かといって、一回りは年齢の違う同期の私にも気さくに接してくれるいい子です。

パワハラしてくる先輩から理不尽な指導を受けていたとき、ゴミ箱蹴っ飛ばして反撃したエピソードをもつ、ほんとうにいい子。

メンタル強者の理由

自分自身を大切にできて、周りになにを思われても自分は自分だと思えるからこそ彼女はメンタルが強かったんだと思います。

つまり「自己肯定感の高さ」がそこにはあるんでしょう。

看護師の自己肯定感、低すぎ?!

看護師は患者や利用者など看護の対象にケアを提供するお仕事です。

ケアを提供することで治療が安全にスムーズに進み、苦痛や不快感から解放される。

そして、ケアを提供したひとから「ありがとう」といわれる。

ありがとうと言われると嬉しいですし、誰かの役にたてた充足感も得られます。

その充足感が看護のやりがいでもあるのですが、別の側面からは誰かにケアを提供してありがとうを言ってもらえるまではやりがいを感じられないとみることもできます。

自己肯定感が低い人は誰かのなにかをしてあげることで自己肯定感を補う、という記事を目にしたことがあります。

看護師が人に「なにかしてあげる」仕事の側面が強い仕事であるため、志望動機が「誰かの役に立ちたい」という人も多いでしょう。

誰かの役に立ちたいという志望動機のなかには、そうすることで自己肯定感をみたすという思いが無意識に含まれているのでは?と思います。

自分以外の誰かに認められたい、そうでないと自己肯定感を保てない。

業務の性質上、そのような自己肯定感の低いひとが多いんじゃないかなあと思うのですが、考えすぎでしょうか??

いじわるな人=自己肯定感が低い説

自己肯定感が低い人は自分より能力が高いひとが周りにいると不安になるそうです。

その不安があるから、自分が勝てる分野で優位に立とうとするんじゃないかな。

知識があって経験が業務に活かせているなら、配属ほやほやの新人や中途入職者にわざわざいじわるしなくても良いわけです。

自分のほうが新しく来た人たちよりもデキるというのが自分でもわかっているから。

それをわざわざちょっかい出してマウントやパワハラするというのは、その新しい人たちが仕事を覚えてしまえば自分の立場が危うくなると考えているからだと思うんですよ。

知識や技術なら勉強すれば身につくものですが、新卒が持っている若さや純粋さはどれだけ頑張っても手に入れられないという事実も、自己肯定感が低い人のネガティブな感情を刺激する一因になっているのでしょう。

知識と技術は勉強すれば身につくといいましたが、自己肯定感が低い人は自分が信じられない=自分はやればできると思えないので、勉強して自分の能力を上げるほうにも向かないんですよね。

いじわるする人は悲しみから生まれたモンスターでもある

中二っぽい見出しですが。

自己肯定感の低さはその人の周囲(家庭など人間関係、育ってきた環境)も大きな要因になっているため、自己肯定感の低さから周囲にいじわるしてしまう人もある面では悲しい存在なのかもしれません。

とはいっても、いじわるやパワハラをこっちが受け続ける理由もないのでそういう人に関わるときは自己防衛をしつつなるべく関わらないようにするのが一番です。

悲しい存在のいじわるな人が変わるには、その人自身の気づきと「変わりたい」という思いを感じることがスタートになると思います。

看護師は優しい人も多いから、可哀そうだなあと思ったら自分がなんとかしてあげなきゃと考える人もいるでしょうがそこまでしなくていい。

人の問題と自分の問題はきりわけて考えよう。

職場でしんどい思いをしている人へ

職場に1人か2人モンスターがいるとメンタルがばきばきに折れますし、新卒1年生でそんな状態だと毎日の出勤で精いっぱいで自己学習や成長どころではないでしょう。

モンスターに立ち向かう仲間や先輩、上司はいますか?

いたら全力で頼ってください。

最初の街を出発したばかりの勇者が中盤のボスに生身で立ち向かう必要はありません。

パーティーを組んで装備を整えて立ち向かいましょう。

 

同期はいない、先輩も助けてくれない、上司は見て見ぬふりなときは?

 

その環境からは撤退してもいいんじゃない?

今はスライムを倒してレベルを上げていく時期です。

それなのにまあまあ強い敵にばかりエンカウントしていたらレベル上げどころではありません。

「逃げる」コマンドの選択は勇気がいると思いますが、負けではありませんから。

知識が、技術が、ということが心配なら今は看護医療系の書籍や解説動画が充実しています。質の高いセミナーだって開催されています。

職場の外でだって十分研鑽を積むことができるので、辛い思いをする以外にも選択肢があるということは頭の片隅に覚えていてほしいです。