もめんタルデイサービス「湿布がまっすぐ貼れません」

ナースを怖がるナースによる、看護職と介護職に向けた情報発信(と雑記)

なぜ「施設の看護は使えない」と言われるのか?

そもそも役割が異なる業種どうしで「使えない」の評価はちょっと違うのではないか?と思うんですが、掲示板などでよく聞く話題です。

協力し合うのが一番なんだけど、お互いのアラを探して「ほらみたことか」「やっぱりだめだよね」と対立しあう話を聞くことが多い。

良いことよりそうでないことのほうが話題にのぼりやすい性質があって、良い話が聞こえにくいってのもあるんだろうけど。

なんで「看護は使えない」になるか、考えてみました。

なぜ「看護は使えない」となるんだろう

手伝ってくれない

介護がおむつ交換にまわっている間、看護は座って記録書いている。

居室からコールが鳴っても部屋に行かないとか、発熱を報告したのに入居者の顔も見ずに様子観察指示を出したとか。

手が空いているなら少しは介護の仕事を手伝ってほしいという声はよく聞きます。

同じような仕事をしているのに動かない人がいると、そう思うのも仕方ないのかもしれない。

 

上から目線でエラそう

これは看護→看護でもあることです。

「なんで○○やってないの?はぁ…(ため息)」と看護師に言われて落ち込んだり、頭にきたりした人もいるでしょう。

特に、自分よりあとに入ってきた看護師にあれやれこれやれと指示をされるとモヤモヤした感情がわくものです。

 

看護師が嫌い!

過去の経験から「だから看護師は嫌いなんだ」となることもあります。

看護師からめっちゃ上からものを言われたとか、働かないくせに給料はたくさんもらっているとか。

看護師といっても十人十色なので、職種で大きく一くくりにされると対処しようがないのがもどかしいです。

 

ちなみに好印象の看護師とは

  • 一緒に業務をまわる
  • 誰にでも気さく

こういう看護師は好印象。

 

一緒に業務をまわることで入居者の状況を共有できるし、普段から良好な関係を築いておくことで情報のやりとりがスムーズになる。

普段からの関わり方が、介護と看護のチーム力に大きく影響するのですね。

 

使えないと言われる看護師の裏側

業務の境界をきっちり分けている

餅は餅屋、介護業務にもっとも精通しているのは介護士だろう。

なら下手に看護が手を出さないほうがいいのではないか、との考えで介護業務に手を出さないひともいます。

 

たまに強い個別性をもった入居者さんもいるので、所見の人はとくにケアの手出しは気をつかいます。

入浴介助で寒かろうと温かいお湯をかけたら、35℃くらいのぬるゆ好きな人とかいるよね。

風邪ひきそうだよ。

 

入居者の個性をよく知る側に任せよう、という思惑は善意もあるでしょう。

そうでなく「それは介護の仕事でしょ?!」とケアに関わろうとしない看護もいます。

それは看護の側からみても「関われよ」と思います。

 

看護師の多い病棟業務ですら、「それはあなたの仕事でしょ?」と動かないひとがいるからびっくり。先輩、コール、鳴ってます…

介護と看護の視点が違う

例えば水分制限のある入居者さんがいたとしましょう。1日に飲んでいい水分量が医療的に決められているので、配茶もビーカーで何ccと測ります。

でも水分制限って我慢が多いし、夏の暑いときもがぶ飲みできず一口ずつ飲まないといけないから本人はとってもしんどそうなんです。

しんどいけど飲めない、飲んじゃだめ。そう理解はしているけど、我慢はストレスがかかるので思わず「お茶ちょうだい」と言ってしまう人だっています。

水分制限の人から制限を超えたお茶を要求されたら、スタッフだって心はゆれるでしょう。でも、制限量をこえた水分を飲んで後々しんどくなるのは入居者さん自身です。

それを知っているスタッフは、介護だって看護だって「制限があるからだめなんです。」というでしょう。

本当は好きなだけ飲ませてあげたい気持ちを、ぐっとこらえてダメと伝えるんです。

でも、水分制限の理由を知らないひとからみると「お茶も好きに飲めないなんて、かわいそう。」となるのかもしれません。

こんな感じで「生活の質」と「健康の質」のどちらに視点が寄るか、介護と看護によって違ってくるので「あの看護師はお茶も飲ませてくれない。いじわるな人だ。」となるのかもしれません。

ちなみに。本来なら医療的制限があるひとでも、医療側と十分相談して起きうる緊急事態への対応を関係者と共有したうえで自由、とするクリニックや施設もあります。

倫理的な問題がクリアできなかったり、急変に十分対応できる体制が整っていなかったりで難しいところも多いんですけどね。

守備範囲が重なるところは協力したらいい

介護は「生活の質」看護は「健康の質」をメインにみることが多いですが、お互い自分の守備範囲しかみないわけでなく業務が重なるところも多いはずです。

「これは介護の仕事でしょ」「なんで看護はこんなこともやらないの」といがみ合うのでなく、お互いできるところは協力しあえばいいと思います。

視点が違うからこそ気づけることもあるのではないでしょうか。

「この入居者さん、いまこんなに仏頂面ですけど笑顔はかわいいんですよ。」など裏話を教えてくれる介護士さんがいますが、よく話きいていてすごいなあと驚きます。

足の裏やわきの下など「よく見つけたなあ!?」という部位の異変を教えてくれる介護士さんは、たいてい仕事が丁寧ですし。

わが職場の介護スタッフも観察力が鋭いので、がさつな看護スタッフの私はいつも助けられてます。「ちゃんとしてよ...」と呆れられないように頑張らないと。

仕事の押し付け合いではなく、業務にかたよりが出ないよう分担できるところは協力しあいたいですね。

そうしたら介護にも看護にもはたらきやすい職場になるし、入居者さんにとっても過ごしやすい環境が整うんだと思います。