「白くて丸いお薬飲んでる」を実際言われたことはないけど、よくあることらしい
「名前は忘れたけど、白くて丸いお薬飲んでいたの。」
私自身は言われたことがないけど、医療介護の世界でよく聞く言葉です。
言ってるご本人は好意の塊ですし、こちらとしても薬を飲んでいる意識を持ってもらえることはとてもありがたい。
ですが、①白くて②丸い、のヒントだけでは正解にたどり着くのが難しいというのも事実。
薬を特定する理由
そもそもなんで薬を特定する必要があるのか。
それは、今の治療内容を確認するためであったり、入院するなら新しくはじまるお薬との飲み合わせを調整するためです。
お薬をこちらで管理する場合も、飲むタイミングや管理方法を知りたいの何を飲んでいるかは知っておきたいところ。
余談ですが、普段使っているお薬の中には
- 飲み薬
- 注射
のほかに
- 貼り薬(湿布も)
- 目薬(目の乾きに使うやつ含む)
- 塗り薬
- 薬局で買える薬全部
- ビタミン剤
- サプリメント
- 健康食品
も含まれるので申告してほしい。
いちスタッフ心からのお願い。
申告されていないものを後から自己判断で使用された場合、スタッフ(主に看護師)が報告書を上げることになります。
場合によっちゃ数十分の小会議になることもあり、心身ともに削られる瞬間です。
なので、「これはどうだろう?」と少しでも思ったものがあるなら全部出してくださーい!
白くて丸いお薬は無数にある
「そんなこと言ってもあなたたちは薬についてよく知っているでしょう?」
「色と形さえわかればそれなりに候補あがるんじゃないの?」
と思ったひと。
先生怒らないから手をあげなさい。
うんうん、そうだよね。
我々はプロだからわかると思うよね。
確かにある程度予想していて、その予想があたることもたまにあるんだよ。
でも、その予想だけで飲んでいる薬を判断するのはめちゃくちゃ危険なことなんです。
例えばこんなケース。
「血液をサラサラにするお薬を出されてた。
確か白色で丸くて、朝に1錠飲んでたよ。」
よく聞きますし、ご高齢のかたのそれなりに当てはまるケースだと思います。
そして薬の予想もつきます。
血液サラサラ→血管が詰まったことがあるか?
ということで考えられるのは
- 血を固まりにくくする薬(抗凝固薬)
- 血を固まりにくくする薬(抗血小板薬)
- 血のドロドロ解消(血液中の脂肪を減らす)
というところでしょうか。
いっぱいあるでしょ?
予想がついたところで全然絞り込めないんですよ。
ここに日常生活の不調をよくする
- お通じをよくする薬
- 胃薬
- 痛み止め
が含まれます。
無限に広がる選択肢。
この病気にはこのお薬で治療しましょうという大まかな方針はあるでしょうが、実際は薬を飲む人の体に合わせて調整されています。
種類がわかっても1日に何mg、何g飲むかもわからなきゃ治療になりません。
「多分これだろう」と当て物みたいにするわけにはいかないんです。
お薬は覚えるのも当てるのも難しい
「ずばり、アナタの飲んでいる薬はこれでしょう!」とはできないのは、白くて丸いお薬が膨大にあるから。
言ってしまえば錠剤なんてほぼ白いし丸です。
印象の薄い同級生と数年後再会したとき並に「えっとー…誰?」となるでしょ。
あれとおんなじですよ。
とはいっても呪文みたいな薬の名前を覚えるのも大変だと思います。
たくさん薬を飲んでいるひとには酷な話。
普段たくさんの患者さんの内服に触れている側の人間でさえ、そらで薬の名前と用量を覚えてはいません。
お薬手帳の活用を
じゃあ薬の管理はどうすりゃいいのよ?!
と思うでしょうが、そういうときはお薬手帳を活用するといいですよ。
薬局で処方される薬なら、処方時に薬剤師さんが薬のシール貼ってくれます。
市販薬の場合でもレシート貼ったり薬の名前書いておくだけでも、普段使っている薬の把握がしやすくなるので助かります。
白くて丸い以外の手がかりが一つでも増えますように。