もめんタルデイサービス「湿布がまっすぐ貼れません」

ナースを怖がるナースによる、看護職と介護職に向けた情報発信(と雑記)

「底辺の仕事」って結局なんのことだい?

就活情報サイトで特定の職種を底辺の仕事として紹介されていたことが問題になりました。
(今は削除されているみたいですね。)

アクセスを集めるための炎上狙いか、はたまた何も考えずに記事を書いたのか。

直接サイトを見たわけではないですが、紹介されていた職種の中には介護職が含まれていたとのことで内心「底辺てなんやねん」と思ってます。

看護師も底辺やら3K9Kやら言われるので他人事ではないですし、今の職場はバリバリの介護業務なので他人事ではない。

個人の思うところとしてですが、底辺と言われる仕事は「知らない誰かが代わりにやってくれたら助かるなぁ」というニュアンスが含まれている気がしてならんです。

仕事内容が大変?

人を1人担ぐ体力勝負な大変さと、体液や排泄物に触れる心理的な大変さがあります。
どっちも慣れてしまえば日常です。

給料が少ない?

基本給がやや低いかな、と感じることもありますがそこに資格手当や夜勤手当がつけばそれなりに生活できる水準。
関西圏の介護パートで1,200-1,300円くらい。
派遣だと1,600-1,800円出るところもあります。
夜勤ありの施設で額面23-25万円スタートも珍しくないので、低いというほどでもないのでは。
一馬力で家族全員養うにはちょっと物足りないから、そこが「給料少ない」と言われる理由かもしれません。

誰でもできる仕事?

これ介護のどこを指しての言葉なんでしょうね?
昔はどこの家でも家族が介護していたので、素人でもできる=誰でもできる、になったんでしょうか。
素人がやっていたからといって、誰でもできる簡単な仕事ではないです。
放っておいたらそこらへんのものを喉に詰まらせる人(注意しても通じない)が毎日を安全に過ごすには、周囲の環境づくりと見守りの目が必要です。
そしてその環境は介護の知識をもった人が作っています。
参入障壁の低さを指しているなら確かにそのとおり。
求人に応募して採用されればそれが介護職デビューになります。
学歴も資格も(初めは)いらない。
が、質の高い介護が提供できるかどうかは就職後の研鑽次第。
バリバリの認知症がある人の介護とか、ちゃんと勉強しないとみんなが苦痛でしかないよ。

結局なんで底辺呼ばわりされなきゃなのさ?

資格や専門知識がなくても仕事に就ける間口の広さ、業務からの身体・メンタル双方からの負担、そして報酬の少なさ。
これらが合わさると、

  • 誰でもできて
  • しんどくてキツくて
  • その割に給料の安い

仕事が出来上がるわけです。
給料の安さは介護報酬という、お上が決めた上限があるからというのも理由。
その割に求められることは年々増えてる気がするのだけど。

底辺と言われようと誰かがやらなきゃいけない仕事で、そこにやりがいがある限り自分はやります。
でも、こういうきれい事言えるのは、自分が介護分野の看護師で少し気持ちに余裕があるからでしょう。
介護分野の最前線にいる介護士さんたちの姿は、病棟最前線の看護師と重なるので余裕ないのもひしひし感じます。

救いなのは、実際の利用者さんやその家族さんから必要とされてありがとうと言葉がもらえていること。
理不尽や無茶ぶりのムチが多いなか、「もうちょっと頑張ってみよう」と思えるアメの一つです。

でも、労働環境とか世間から言われる心ない言葉(底辺職、とかね)のムチが多いからやっぱ働きやすい労働環境づくりは必要だなと。

個人的には、今テイヘンと言ってくる人は老後てーへんだよって言い返したい。
人の老化率は100%だよ。
誰でも老いるよ。